男性が長期育休を取得するハードルの超え方

About us(ハワイでの育休)

2019年の出生数が90万人を下回ったという記事を昨年からよく目にします。

この深刻な少子化への対策の一つとして「男性の育休取得の義務化」という議論があります。

私は義務化に賛成ですが、それよりも、育休を自主的に取得できる人が増えること大切だと思っています。

そこで、今回の記事は新卒3年目で第二子誕生に伴う育児休暇を取得した私が、1年の育休を取得した際に考えたことを共有することで、育休取得の後押しとなるといいなと思っています。

すべての人に当てはまるとは思いませんし、義務化されない限りは取得が難しい人もいるのが現実だとは思っていますが、育休について考える際の材料の一つになれたら幸いです。

男性の育児休暇取得を巡る現状

統計が取られている1995年以降、女性は8~9割、男性は0~1割の取得率で推移しています。

平成30年度雇用均等基本調査(速報版)では、

男性の育児休業取得者の割合は6.16%で、6年連続で上昇

とサブタイトルがあります。

2015年が2.65%、

2016年が3.16%、

2017年が5.14%、

2018年が6.16%

と、年々取得率は上がっています。

このペースだと、2019年は未公開ですが、7~8%代になっているかもしれません。

この数字を見た個人的な感想

共働きが主流、国際的にも男女平等が進んでいるというのに、女性8~9割、男性0~1割はギャップが大きすぎると思います。

6年連続取得率上がっているのは良いことですが、明らかにペースが遅すぎですね。

ちなみに、2019年の「ジェンダー・ギャップ指数」の順位は、日本は153カ国中121位。

先進主要国首脳会議参加国(G7)で最低です。

最重要課題の一つですから改善のペースを上げないとまずいのでは、、、

このジェンダー・ギャップの大きさも

「育休は女性ばかり」+「育休がキャリアロスとなる日本」=「重要な仕事は男性」

の構図が影響していると思います。

なぜ男性の育休取得率は微増に留まるのか

もし、みなさんが以下の3条件を満たす状態だったら育休を取りたいですか?

  1. 生活が保証される(毎月の収入は育休中も変わらず得られる)
  2. キャリアにデメリットがない(復帰時に仕事と給料は変わらない、出世コースから外れず評価も落ちない)
  3. 会社への影響はない(代わりがいる)

おそらく、半分程度の人が「はい」ではないかと思います。

夫婦、家族も踏まえて回答した場合、80%以上が「はい」となるのではと思います。

「人生100年、80歳まで労働者」なんて言われているのに、そのうちの半年ですらキャリアを止めたくないというほうが少数派です。

つまり、多くの人は本当は「育児休暇を取りたい」と思っているにも関わらず、生活やキャリア、会社を懸念して、育休を取得できないわけです。

私も上記の生活、キャリア、会社の3要素が1年という長期の育休取得の際の不安材料でした。

これら3つの不安が国の制度か何かで解消されたらとてもハッピーですが、そんな他力本願ではいけません。

では、私は三つの不安要素についてどのように考えて長期で育児休暇を取得する決定をしたのかをこれから書いていきます。

ちなみに、仕事一筋で生きたい、妻も専業主婦志望、実家も里帰りウェルカム!

という、育休を取らない方が家族のために良い選択、というケースもあるかと思います。

この人たちは私としては育休をとる必要はないと思っています。

長期育休を取得した私個人の考え方

ここから、育休取得の際のハードルを超えた私個人の考え方を書いていきます。

育児休暇を取得する一般的なメリットは書きません。

調べれば多く出てくるでしょうし、私個人としてよかったことはこちらにまとめています。

ハードル1:生活(収入)の不安

生活のハードルは、もっとも大きいものなので1番目に持ってきました。

育休中は、育休前6ヶ月の所得を平均した金額の66%が育児休業給付金として雇用保険からもらえます。(2020年1月現在、上限6ヶ月。その後は育休開始から2年まで50%)

この給付金が振り込まれるのは、育休取得後2ヶ月後以降(会社の申請の早さによる)で、2ヶ月ごとにまとめて振り込まれます。私の場合は4ヶ月後からでした。

つまり、子どもが増えるのに収入は減りますし、育休取得直後には収入が一時的になくなります。

とはいえ、日本の育休制度は男性の取得率こそ低いものの、国際的に見てもかなり優れた制度です。

特に、はじめの半年は66%もらえるので、思い切って半年取得してみるのが良いと思います!

もし共働きだった場合、ふたりで育休をとれば両者の雇用保険から支給されます。

仕事を離れて育児をする良い機会だと思います。

ちなみに少し脱線しますが、

少し前に、「貧乏人は子どもを作るな」というツイートが炎上し、肯定意見もありました。

そんなことを言ったら、晩年になって十分な貯金と多くを成し遂げたという自信でもない限り、これから親になる人の多くは自信ないんじゃないかと思います。

私もドキッとしました。

転職サイトによると、20代の正社員の平均年収が346万円、30代が452万円です。

この数字では、20代で子どもを育てられると確信できる十分な貯金をもっている人はほぼいないのが現状だと思います。

30代共働きでも不安はつきまとうのではないかと思います。

しかし、このようなネガティヴな意見にとらわれず、

「自分の」または「家族の」理想のライフプランを考えて、自分(たち)の道は自分(たち)で考えることが大切だと思います。

そして、それは尊重されるべき意思決定であって、人になんと言われようと気にすべきではありません。

大切なことは、自分や夫婦間で決めたことを無責任に投げ出さず、責任を持って向き合うことです。

その結果、「子どもは欲しくない」という結論ならそれも尊重されるべきですし、

「子どもを育てる」とパートナーと決めたならば、そう簡単に諦めたりしませんし、とても充実するはずです。

ハードル2:キャリアの不安

次に大きな不安がキャリアの不安だと思います。

役職に付いている人の場合、今まで積み上げてきた努力が水泡に帰すかもしれません。

私のようにキャリアが未形成の人にしても、履歴書の空白期間や、同期との差、やる気がないように思われそう、など多くの懸念があることと思います。

私は「育休とキャリア」に関してどのように考えたのかを紹介します。

子どもを育てるには今までよりお金が必要。だから「キャリアを積みたい」「出世コースから外れるわけにはいかない」と考えるのは当然です。

私の場合は、そもそもまだキャリアを何も積んでいない状態に近しく、役職もないため、キャリアへのダメージはほとんど無く、キャリアのハードルを超えやすかった部分はあります。

一方で、自分の人生の目標のひとつが、いまやっている事業の成功だったり、会社にいる時間が最高の時間と言えるなら、無理にキャリアの歩みを止める必要はないと思います。

その場合、関係者にキャリアが重要であると伝えた上で、キャリアを妨害しない育休の取り方を模索しても良いかと思います。

しかし、漠然と給料を上げたいから、周りの目が気になるから、毎日会社に行っていることが立派だから育休には消極的、というのはイマイチだと思います。

男性が育休を取らなかったしわ寄せは女性にやってきます。

結果、「”女性が”「キャリア」か「子ども」かどちらかを選ばないといけない問題」や「”女性が”育児に追われる問題」が生じます。

日本のジェンダーギャップの観点からも好ましくない意思決定ですし、

「人生100年」「生涯労働者」「不確実性」の時代に、男性1人で生涯稼ぎ続けなくてはいけなくなることの方がリスクは大きいです。

本来、女性も男性も長期育休を取ったとしても、キャリアは継続されて然るべきだとは思います。

しかしいくらコミュニケーションをしてもキャリアにダメージが生じてしまうケースもはまだまだあると思っています。

そういう時には、

転職や業界を変えたり、フリーランスになることや在宅ワークを始めること、大学に戻ることなども視野に入れて、夫婦2人の今後のあり方を夫婦間で話せば良いと思います。

どちらも働こうと思えば働ける状態にあることこそが、強い安定です。

大きな会社いることだけがキャリアの安泰だとは限りません。

キャリアの大きな変化は怖いですが、育休は今の地点を見直して、変化を検討するきっかけになるでしょう。

これからの時代、変化を厭わなかった経験は大切になると思います。

ハードル3:会社の不安

自分が休暇に入ることで会社の業務が回らなくなるのではないか、という不安の大きさは勤めている会社や役職によって大きな差があると思います。

いずれの場合においても、前もって、育休取得を考えていることや、育休取得の意思を正直に伝え、コミュニケーションを取ることは必要だと思います。

結果はどうであれ、その会話をきっかけに個人も会社も前進することができるからです。

私の場合、新卒三年目の若手であることと、会社が数千人規模だったため、代員の確保は比較的簡単な状況だったこともありますが、前もって伝えたことで上司と育休に入るまでの仕事の仕方を考えることができました。

しかし、中小企業の場合、自分が長期で休暇に入ると会社の業務が回らなくなるケースもあるかと思います。

それでも、あなたが育休を取得したいと思っている場合は、取得の意思を会社に伝えるべきです。

育休取得の条件を満たしている男性従業員から育休を申請された場合、育休を付与することは法律上の義務です

たとえ、完全に休むのは無理でも、半育休のような形を取ることもできますし、早めに育休取得の意思を伝えることで代わりのメンバーの補充や教育をあなた自身ですることもできます。

できるだけ早いタイミングから上司や同僚とコミュニケーションを重ね、自分の意思を伝えた上で、自分の納得のいく選択することがもっとも大切です。

取りたかったのに育休を取得しなかったり、直前になって上司に伝えて叱られたり、大して話を聞いてもらえず言いくるめられてしまった場合は、あとで後悔してしまうかもしれません。

育休取得の結果、会社が損失を出したとしてもそれは経営の問題です。

自分にとって大切なことを上司に伝え、しっかりと合意に落としこもうと努力することが大切です。

育休やジェンダー問題は日本の重要課題なだけでなく、国際的に強い追い風なので、SNSで拡散すれば相談先や支援者もわかります。

もし育休取りたいと思っているなら、今がチャンスです!トライしてみる価値はあると思います!

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