今回は、壁のようにそびえるハワイの山脈「コオラウ山脈」の最高峰のひとつ「K1」へ直上する尾根道を紹介します。
コオラウ山脈って?
先ほどの冒頭の写真はホオマルヒアボタニカルガーデンで撮影したコオラウ(Ko’olau)山脈です。
まさに絶壁。この絶壁の山脈はオアフ島の東側に南北に連なっており、なんと全長37マイル(60km)です。
コオラウの意味
「コオラウ」はハワイ語で風上を意味します。
オアフ島では風が東から西へ吹くため、島の東側はウィンドワード(風上)と呼ばれています。
K1って?
K1と聞くと年末に放送される格闘技を想像しますが、ここでいうKは「コナフアヌイ(Konahuanui)」を意味します。
コナフアヌイは、コオラウ山脈にあるツインピークスの最高峰(960m)の名前で、2つのピークはそれぞれ略してK1, K2と呼ばれます。
コナフアヌイの意味
調べてみたところ、コナフアヌイはハワイ語で「大きな睾丸」を意味します。
ハワイの伝説が由来となっており、その伝説によると巨人が投げつけた2つの睾丸がツインピークスとなったようです。
なぜ睾丸を投げたのか、、、それは逃亡している女性を狙って投げたとか、、、
ここまでしかわかりませんでしたが、色々とすごい伝説ですね。笑
今回紹介するK1への道「ピリワレリッジ」
今回ご紹介するK1への過酷な道は、この尾根道です。
この写真はピリワレリッジ(Piliwale ridge)という尾根です。
以下の地図で赤丸で囲んだ部分が、この写真の部分に当たります。
このマップを見るとわかるように、K1へ登頂するルートは全部で3つあります。
ピリワレリッジの他に、北からのルート「Pali notches trai」と、南からのルート「Konahuanui trail」があります。
残りのルートはいずれ紹介できたらと思います。
さて、今回のピリワレリッジは、赤丸に至る手前までであれば「ピリワレリッジトレイル」という名称の眺めもよい中級トレイルとなってます。
ピリワレリッジ→K1がエキスパートオンリーな理由
ピリワレリッジは地形が危険なことに加え、登山者が少なく自然が手付かず状態なため、挑戦者はいくつかの困難に直面します。
ロープ切れ
トレイルロードにはロープが設置されています。
しかし私が登っている最中に、ロープ切れが一度ありました。
また、ロープの結ばれている先の木が枯れていたり、枝が折れそうだったりするケースも幾度かありました。
見てわかるようにベルトのような薄いロープなので、あまり信頼はできません。
基本的にロープに体重を乗せる前にロープをしっかり張り、強度を確認します。
体重をかける際にも片手で持ち、もう片手は別のロープや岩を持ち、切れた時に吹き飛ばないように登ります。
それでも切れると体制を崩し、落下すれば怪我の可能性が高いので冷や汗でした。
落石
簡単なロッククライミングが必要となる場面も何度かあります。
高くても1回3mほどで登ることは難しくはありませんが、その際の落石はとても危険です。
3回のうち2回は足もとの石が転がってしまい落下したので、自分は無傷、下に登山者もいないので心配ありませんでしたが、
1回は岩壁を登ろうとした際に手で掴んだ岩がボロッと崩れ、中から出てきた頭サイズの石が自分の両足にヒットしました。
右足はなぜか切り傷ができて、左足は軽い打撲のような痛みが3日たった今でも残っています。
ロープ同様、岩も体重を預ける前の強度確認は必須です。
滑落
地形的に崖の先端を登る場面も何度かあります。
落下に気をつけるしかありません。
すべらない登山靴以外では来るべきではないでしょう。
この角度では落ちたら下までノンストップです、、、
行く手を阻む 手付かずの植物
これが最もやっかいで、私が頂上目前で撤退せざるを得なかったのも植物が原因でした。
上へ進めば進むだけ人が歩いた形跡が減っていき、この辺りでまったく身動きが取れなくなりました。
手足に絡まるツタは太く、枝が体に刺さってきたり、植物で視界や行動がどんどん制限されます。
ご覧の通り、足は膝まで埋まり、ツタが絡まってきます。
完全に半袖半ズボンで行く場所ではありませんでした。
この太さになると無理やり歩いてもなかなか切れません。
上からの眺め
頂上まではいけませんでしたが、頂上付近でも眺めは絶景でした。
左はクアロアまで見えます。
なんと右はワイマナロまで見えます。
正面にはハードトレイルとして高い人気を誇るオロマナが小さく見えます。
さらに右を見ると、連なるコオラウ山脈が見えます。
どこを見ても絶壁で登れる気はしませんね。
そしてこれは白いコケでしょうか?
見たことのない得体のしれないスポンジ状の何かが岩にくっついていました。
スポンジの横には紅一点、こんな場所で咲き誇る赤い花もありました。
きた道を振り返ると(というより下を向くと)、こんな感じです。
だんだんと急になっていますね。
よくここまで登ってきたなと思います。
引き返すのも大変
自分が植物を開拓して作った狭い道があるので、登りよりかは楽でしたが、緊張感は登りよりも高いです。
下山を開始してすぐにロープや岩の握りすぎで中指の皮が向けてしまいました。
久しくクライミングをしていないので、すぐに皮が向けてしまいます。泣
登りですでに疲労困憊だったので、集中が切れかけては休憩をして、安全第一でゆっくりと2時間かけてピリワレリッジを下りました。
岩の道から、ピリワレリッジトレイルの道へ到達したときの生還したという安心感はとても大きかったです。
この先も急斜面なので滑りはしますが、転倒したとしても落下はしないので気楽でした。
そして、ついにマウナウィリトレイルの平和な道に帰還しました。
途中で引き返したにも関わらず、このリッジだけで往復4時間かかりました。
K1へ登りたい人は、この道(ピリワレリッジ)を選ばないこと、選ぶ場合でも植物対策をしていくことをオススメします。
私は次は別の道からK1へリベンジしようと思います。
この日の一日の流れはこちらをご覧ください。